発熱はしたけれど、コロナの検査が陰性となって一体これは何の熱なんだ?と不安になる方が一定数いらっしゃるのでしばらく熱をひきおこす感染症について触れていきたいと思います。
熱が出る病気は様々ですが(感染症だけでなく、虫垂炎などの腹部炎症や膠原病などでも出ることもある)一般的に多い感染症について本日は説明していこうと思います。
本日はまず溶連菌についてです。子供に多い感染症ですが、大人でもかかります。
のどがよく腫れるので、のどが腫れて高熱が出ている場合には溶連菌感染症の可能性があります。
【原因菌】溶血性連鎖球菌(ようけつせいれんさきゅうきん)*略して溶連菌とよく呼ばれます。
【症状】
・38℃以上の発熱
・手足の発疹
・苺舌(赤くボツボツした舌)
・のどの赤み、痛み。扁桃腺が腫れ、膿がついたりします。
【検査】
喉をこすって検査する検査キットがあります。10分程度で結果が出ます。
【治療】
抗生剤内服(種類によって違いますが、7~10日程度内服をします。)
対症療法として、のどの痛み止め、解熱剤など
抗生剤は何でもよいですが、ペニシリン系(サワシリン、パセトシンなど)を使用することが多いです。ただし、ペニシリンアレルギーのある方にはエリスロマイシンなどを使用します。抗生剤は薬剤アレルギーを起こす人が一定数いますので、薬剤アレルギーによって使う抗生剤を変えます。
私自身も抗生剤の一部でアレルギー症状である薬疹が出ますので、抗生剤を使うときはその成分を含む抗生剤を避けて使っています。抗生剤でアレルギー反応を起こす方は割と多いので気を付けて処方しますが、予想がつきませんので、もし内服して薬疹などの症状が出ましたら内服は中止してすぐに当院までご連絡ください。
【まとめ】
溶連菌は抗生剤を飲めば治ります。ただし、決められた期間は抗生剤を必ずのむということがとても重要です。溶連菌で恐ろしいのは、そのあとに続発症が起こることがあるということです。途中で内服薬をやめてしまうと、関節炎や心臓の弁膜症につながるリウマチ熱や腎機能の低下を引き起こす腎炎が発症することがあります。いずれも適切な治療により回復する病気ですが、稀に後遺症が残る場合もあります。繰り返しになりますが、決められた期間は抗生剤を必ずのむようにしてください。
新宿内科 院長 絹川 千尋
公益財団法人日本産業衛生学会 指導医
一般社団法人 社会医学系専門医協会 指導医
日本抗加齢医学会 評議員
産業保健法法務主任者
産業医科大学 産業生体科学研究所 産業保健経営学 非常勤講師