当院は発熱外来としての診療は行っていません。一方で、発熱患者さんは事前に連絡をいただき、時間的・空間的隔離の上で診察をおこなっております。それは、発熱外来というものに疑問を持ったからです。
当院では当初予約不要の外来を目指していました。忙しい方にとって、今すぐ見て欲しいという気持ちがあると思っていたからです。調子が悪くなるのに予定などないでしょう。しかし、コロナ禍で状況は一変し、たくさんの患者さんを待たせることに疑問を持ちました。
コロナ禍の発熱外来は、1年前に要請があり、補助金なども含め申請の依頼がありました。しかしそこで考えたのは、たとえ発熱や風邪症状のある患者さんであっても、コロナの感染ではない方もたくさんいると言う事です。例えば、胃腸炎だって発熱します。胃腸炎の患者さんを、発熱外来に並ばせる事は、本来なら患者さんを危険に晒すことに他ならないと考えています。もちろんコロナの感染でも下痢症状は起きうるので、初めの段階で区別することはできず、検査することにはなるかもしれませんが少なくとも、コロナを疑おうが疑うまいが、発熱患者さんをたくさん集めて同じ空間に長時間待たせるということが私にはできないと考えました。結果として、発熱患者さんは診察させてもらうが、可能な限り素早く、かつ、その患者さんも含めてなるべく接触しないことを目指しました。そのため、予約優先とさせていただき、発熱外来の設置はしない方針となっています(当院では発熱外来の補助金等も申請しておりません)。当院は、あまり患者さんが多くない点もありますが、およそ15分以上待つことはほぼない状態です。窓も、寒くて申し訳ないのですが、開放しております。
発熱している方も、そうでない方も、なるべく速やかに診察させていただき、不安の残らないようにしたいと努めます。発熱のある方は、事前にご連絡いただき、他に患者さん同士で接触がないようにしておりますので、ご協力ください。これは発熱≠コロナであることからも、発熱のある患者さん自身を守るためでもあります。全ての方々にご理解が得られないかもしれませんが、無制限に患者さんを受け入れることが、このコロナ禍において、患者さんを危険に晒すのではないかという私の考えの元で、この予約優先制を取り入れております。
また「発熱外来に行って、PCR検査をしたが陰性だった。そこではコロナではないから様子を見てくださいと言われた」という相談がよくあります。これは非常に問題だと考えています。医療機関はPCR検査センターではありません。医療機関は、診断を行う必要があります。虫垂炎(盲腸の炎症)など診断が遅れると、非常に危険な病気も、初期症状は発熱と吐き気であったりします。PCR検査が100%の診断能力ではないことを前提とした上で、まずはPCRでも構いません。でも、他の病気を見逃さないためにも、再度診察したり、採血検査を組み合わせたりすることは重要です。重症化したらそれこそ命の危険がありますし、現状では救急車も受け入れ先が困難な状況です。
1日も早く、そのようなことを気にせずとも受診していただける時期が戻ることを願っております。